ウォーカー・アート・センターで開催された展覧会『Hippie Modernism: The Struggle for Utopia』(2015年)の解題として書かれた論考。1960年代のカウンターカルチャーとデザインの交差点を、展示作品群と歴史的資料を手がかりに読み解く。

本稿では、バックミンスター・フラーの「宇宙船地球号操縦マニュアル」(1963年)からスチュアート・ブランドの『Whole Earth Catalog』(1968年)に至る「全地球」という視座を出発点に、Ant Farmの「メディア・トラック」──路上を移動する情報メディアの実践──を中心に据え、ポスト・ヒューマン思想への筋道を追う。Ant Farmの〈カウボーイ・ノマド宣言〉、テッド・ネルソンのハイパーテキスト概念、ティム・バーナーズ=リーのワールドワイド・ウェブへと繋がるコンピュータ間ネットワークの構想を連続的に位置づけ、反体制のライフスタイルとテクノロジーの結合が現代のポスト・ヒューマニズムにどのように接続するかを論じている。ファッションの批評誌『vanitas』No.006に掲載。